全盲の視覚障害者の失敗しないKindle本の買い方

全盲の視覚障害者‘ぶちゃこま’です。

見えない私は、Kindle本をiOSのVoiceOverというおしゃべり機能を使って読んでいます。

↓ 見える人も試せますよ!
iPhoneでVoiceOverをオンにして練習する – Apple サポート (日本)

そんなKindle本ですが、全盲の私には購入までにいくつかの難関が存在します。たとえば次のようなことです。

  • Kindleアプリからは直接買えない
  • 紙の本と電子書籍を間違えて買いそうになる
  • 誤って「1-Clickで今すぐ買う」を押しそうになる

そしてもっと困ったことに、Kindle本のすべてがVoiceOverの読み上げに対応しているわけではないという現状があります。

このように、読めない本や意図しない本の購入をしませんように、また、読みたいという熱が購入手順の複雑さにより冷めてしまうことがありませんように、全盲の視覚障害者が決して失敗しないKindle本の買い方を紹介します。

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購入前にサンプルを読む

その本がVoiceOverで読めるかどうかを確かめるために、購入前にサンプルを読むようにしています。

Kindle本のすべてがVoiceOverの読み上げに対応しているわけではありません。Kindle本の「登録情報」には「Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能)」が有効か有効になっていないかが記載されています。ここが「有効」でないとVoiceOverで読むことができません。

「登録情報」でその旨を確認すればいいだけのことなのですが、どういうわけか確認し忘れることがあります。選書と読み上げ機能の確認は別のタスクなのでしょう。本を選ぶときは気持ちが高ぶってしまい、読み上げ機能の確認がおろそかになるようです。

私は、この「Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能)」が有効になっていない本を買ってしまわないように、Kindle本の購入の前には必ずサンプルを読むことを自分に課しています。

アプリから「ほしい物リスト」に追加する

Kindleアプリから直接Kindle本を購入することはできません。そこで、Amazonの「ほしい物リスト」に購入候補のKindle本を追加しておきます。

さまざまな端末でKindle本を読んでみた結果、私はiPad miniでの読書が一番しっくりとしました。文庫本を広げたくらいの大きさ、3本指でスワイプしてのページ送り1など、見えていたころの読書スタイルに近いところがお気に入りです。ですから、ふだんはiPad miniにKindleアプリをインストールして読んでいます。

ところが、このKindleアプリからはKindle本を直接購入することができません。なので、Amazonの「ほしい物リスト」を“アプリとブラウザの橋渡し”に使っています。

アプリから直接買えないことは不便という意見があるようですが、私はそうでもありません。「読む」と「買う」という行為は、分かれていたほうが思考の乱れを防げるからです。Kindleアプリ内では「読む」ことに集中し、読みたい本をじゃんじゃん探して「ほしい物リスト」にどんどん追加2しています。

ブラウザの「ほしい物リスト」から購入する

Amazonの「ほしい物リスト」に追加したKindle本は、ブラウザから購入します。

私はPCのブラウザから購入3しています。Amazonの「ほしい物リスト」を開き、購入したい本のタイトルをクリックしてその本の詳細ページに移ります。そのページの「注文を確定する」というボタンを押すと購入できます。「ほしい物リスト」を開いた時点で「1-Clickで今すぐ買う」を押しても同じことなのですが、リストの前後にある本と間違えたくないのでひと手間かけることにしています。

Kindleアプリから「ほしい物リスト」に追加しておく利点があります。それは、追加した本が紙の本ではなく確かに電子書籍であることです。アプリからリストに追加してある本をそのまま購入すれば、紙の本の注文と間違えることはまずありません。

アプリではなくブラウザで選書をしたときは、書籍の詳細ページのタイトルに「Kindle版」と付記されていることを確認しておくといいです。「ほしい物リスト」の一覧では、著者名のあとに形式の種別が付記されますのでそこでも確認できます。

  1. 2024年の半ばくらいから、3本指の左右スワイプでページ送りはできるものの、ページの全文読みはできなくなってしまいました。2本指の上下スワイプで本全体の流し読みはできますが、画像(?)がはさまると読み上げが止まることがあります。 ↩︎
  2. PCブラウザで表示されるAmazonの「ほしい物リスト」に追加した商品を削除するためのボタン(見える人にはごみ箱のイラストになっているらしい)には「送信」という代替テキストがついているようです。「削除」とつけるべきところを「送信」としてしまっているものと思われます。ちょっとこわいけれど「送信」を押してみると追加した商品を削除することができます。 ↩︎
  3. 私はPCのブラウザから商品を購入していて問題ありませんが、2024年の半ばくらいからiPadのSafariからは購入できなくなりました。Amazon.co.jpのサイトそのものをVoiceOverが読まない……。私だけでしょうか、私だけだといいのだけど……。iPhoneは大丈夫です。 ↩︎

おわりに

全盲の視覚障害者‘ぶちゃこま’の決して失敗しないKindle本の買い方でした。

iOS、iPadOS、Kindleアプリのアップデートにより様子が変わることが度々あります。そのために今回は脚注が増えてしまいました。このページもこまめにアップデートするつもりでいます。

見えない人のKindle環境はだいたいこんな感じなんだなと、ざっくりと受け止めてもらえると幸い。しかしながら、見えなくてもKindleなら読めるぞ!という自信はまあまあ強く持って取り組んでもらえるとうれしいです。

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おわりっ!