2025年10月23日 全面改修
見えない私は、Kindle本をiOSのVoiceOverという画面読み上げ機能を使って読んでいます。
本の開き方から読み上げの方法、本の閉じ方といった基本の操作と、実際に使っていて気づいたVoiceOverの読み上げの「ちょっとした癖」や、図表などの画像への対処法をお伝えします。残念ながら、現状では「ハイライト」機能が使いづらいのですが、代わりに「メモ」を活用する方法を詳しくまとめています。
目次
操作環境
これから紹介する操作は次の環境で行っています。
- iPad mini(iPadOSバージョン26.0.1)
- VoiceOver(iOSの画面読み上げ機能)をオン
- Kindleアプリ(バージョン7.43)
↓ どなたでも画面読み上げ機能を試せますよ!
iPhoneでVoiceOverをオンにして練習する – Apple サポート (日本)
↓ Amazonカスタマーサービスによる操作説明もどうぞ!
iOS版KindleアプリでVoiceOverを使用する – Amazonカスタマーサービス
↓ Kindle本の買い方も書いています!
全盲の視覚障害者の失敗しないKindle本の買い方
Kindle本の開き方
KindleアプリでKindle本を開く方法を紹介します。次の3つの方法をまとめました。
- Kindle本の最初のページを開く
- ページをめくって開く
- 章や節などの任意のページを開く
Kindle本の最初のページを開く
Kindle本を購入するとKindleアプリの「ライブラリ」に書名が表示されます。Kindle Unlimitedで選んだ本やサンプルも同じように表示されます。
「ライブラリ」に表示されている本の中から読みたい本の書名を1本指でダブルタップするとダウンロードが始まります。ダウンロードが終了するとその本の1ページ目が開きます。
ページをめくって開く
Kindle本のページをめくるときは、3本指で左にスワイプします。送ったページを戻したいときは、3本指で右にスワイプです。
章や節などの任意のページを開く
章や節の頭出しをしたいときがあります。複数の方法がありますが、ここではKindle本のメニューにある「目次」から章や節を選ぶ方法を紹介します。
Kindle本のメニューの開き方
まずは、Kindle本のメニューを開く方法です。開いているページの画面を1本指でダブルタップすると「本のアクション メニュー終了」とアナウンスがあります。これがそのKindle本のメニューが開いた状態です。
メニュー項目は次のとおりです。
- メニュー、「終了」
- 本を閉じる
- 目次
- 書名
- ブック内検索
- 注釈
- 読書の設定
- その他のオプション
- ブックマークの追加
「目次」の操作方法
このメニュー項目の中から「目次」を開いて目的の章や節を選びます。
メニュー項目の「目次」を1本指でダブルタップするとその本の目次が開きます。目次を1本指のスワイプで追い、頭出しをしたい章や節が見つかったらダブルタップします。再びメニュー画面に戻るので、一番最初のメニュー、「終了」をダブルタップすると先ほど選んだ章や節のページが開きます。
Kindle本の読み上げ方
Kindle本の本文の読み上げ方は一般的なVoiceOverの操作と同じなのですが、私の操作環境ではいくつか気になることがあります。その注意点を含めて、次の2つの場合に分けて説明します。
- 連続して読み上げたいとき
- ページをめくって読み上げたいとき
連続して読み上げたいとき
2本指で上にスワイプするとページの先頭から読み上げが開始され、下にスワイプするとカーソルのある位置から読み上げが開始します。この場合はページごとの操作の必要はありません。自動的にページがめくられていきます。
ただ、私の環境では、2本指で上にスワイプするとそのページの先頭ではなく2ページほど前に戻っているような気がします。ページを見失いたくないときは下にスワイプして読み進める方が安心かもしれません。
また、2本指の上下スワイプで本全体の連続読み上げはできるものの、画像(図表など)がはさまるとそこで読み上げが止まることがあります。読了したわけではないときがあるので気をつけてください。
ページをめくって読み上げたいとき
3本指で左右にスワイプするとページをめくることができ、そのページの読み上げが開始しますが、一つ目のコンテンツ要素を読み上げたところで読み上げは停止します。
コンテンツ要素とは、多くのKindle本において段落を指すようですが、本によってさまざまな印象です。いずれにしても、読み上げが停止した先にも内容がありますので気をつけてください。
読み上げ停止後の読み進め方は、先述した連続して読み上げる方法と、1本指の右スワイプでコンテンツ要素ごとに読み進める方法があります。ちなみに、1本指で左にスワイプするとコンテンツ要素ごとに戻ることができます。
Kindle本の読み上げの止め方
Kindle本の読み上げを停止したいときは、2本指で画面をタップします。画面にそっと触れるだけで読み上げが止まります。もう一度触れると読み上げが再開します。
Kindle本の閉じ方
Kindle本を閉じたいときは、2本指でスクラブします。画面上に2本指で「Z」を描く感じです。
Kindle本が閉じると、そのKindle本を開く前の画面に戻ります。
できると便利な操作
これまで述べてきた操作が習得できれば、VoiceOverで問題なくKindle本が読めるようになると思います。私もここまでの操作の範囲で十分な読書ができています。
これ以降は少し複雑な操作になります。できるようになると便利ではありますが必須ではありません。次の内容を説明していますので、必要な人のみ読み進めてください。
ページに「しおり」をつける方法
本文中の画像からテキストを検出する方法
本文中の文字列に「ハイライト」する方法
ページに「しおり」をつける方法
ページに「しおり」をつけることができます。読み止しのページはアプリが記憶しますのでその都度しおりをつける必要はありませんが、複数のしおりを挟みたいときには便利な機能です。
先述した「目次」を開くときと同様に、Kindle本のメニューから操作します。メニュー項目の「ブックマークの追加」が「しおり」に当たります。
しおりをつけたいページを開いた状態で画面を1本指でダブルタップします。メニューが開いたら「ブックマークの追加」を選んでダブルタップすると「ブックマークが追加されました」とアナウンスがあります。これでしおりがつきました。
ブックマーク(しおり)は、メニューの「注釈」に一覧表示されるようになります。
本文中の画像からテキストを検出する方法
VoiceOver対応のKindle本を選んでも、本文中に含まれる図表の中身までは読み上げません。「画像」とだけ読み上げられると思います。
何の図表だろう、ちょっとでもいいから情報がほしいよというときは、その画像からテキストを検出してみるといいです。以下はその方法です。
テキストを検出したい画像のページのスクリーンショットを撮ります。「スクリーンショット」とアナウンスがあるので、1本指でダブルタップするとスクリーンショットに対するメニューが表示されます。その中から「テキストを検出」を選んでダブルタップします。
画像にテキストが含まれていればそのテキストが検出されます。図表中の文字であると予想されます。文脈や表示順が意図どおりに検出されるとは限りませんが、何の図表であるかのヒントにはなると思います。
本文中の文字列に「ハイライト」する方法
以前はVoiceOverで文字列の選択が容易にできたのですが、現在の環境では難しくなりました。ですから、現在は実用に足る状況にないと判断しています。それでも、どうしてもハイライトしたいという人に向けて説明します。
文字列の選択方法
まずは難しくなってしまった文字列の選択方法からです。
選択したい文字列があるページを開いた状態でローターを「行」に設定します。1本指の上下スワイプで、選択したい文字列が含まれる行を探してください。その行を読み上げたところで、1本指でダブルタップしたまま長押しをします。
すると、選択した文字列に対するアクションメニューが開きます。現在選択されている文字列は、選んだ行の中央あたりにある単語になっているようです。ここで、選択されている文字列を調整していきたいのですが、ここのところがVoiceOverで難しくなってしまいました。
やってみると難しさがわかるので説明します。開いたメニューの中から「セレクションの右端へ」という項目を探してください。このメニュー項目を読み上げたところで1本指で上にスワイプすると文末が1単語ずつ広がり、下にスワイプすると1単語ずつ狭まるというしかけでそうはなるのですが、1単語捜査したところで「セレクションの右端へ」という項目の選択が外れてしまうのです。
つまり、1単語広げたり狭めたりするたびにメニュー項目を選び直さなければならないという大変な状況になっています。しかも、選択した文字列を読み上げ終わる前にその動いてしまった先の選択項目が読み上げられるものですから、選択範囲を音声で正しく認識することができません。
どうしても任意の文字列を選択したいときは、1単語調整するたびにメニュー項目を選び直すという面倒な作業を繰り返すほかはなさそうです。そして、選択した文字列を正しく認識するために、先に文末(右端)を整えて、それから文頭(左端)の調整にかかるようにすると、文頭は読み上げが切れることはありませんからいくらかやりやすいと思います。
「ハイライト」のつけ方
無事に文字列が選択できたと想定して「ハイライト」のつけ方に入ります。
ハイライトは「青」「ピンク」「オレンジ」「イエロー」の4色から選べます。文字列が選択できたら、メニュー項目から「ハイライト」を1本指でダブルタップします。すると色の選択画面が出てきますので、4色から好きな色を選んでください。
たとえば「青のハイライトを追加」を選ぶと「ハイライトを追加しました」とアナウンスがあります。これでハイライトがつきました。ハイライトはメニューの「注釈」に一覧表示されるようになります。
「メモ」の記入方法
これほどまでに文字列の選択が難しい中、それでもハイライトすることにこだわる理由があるとすれば、その文字列を正しく引用したいとか、その部分を深く理解したいとかいうことになると思います。私がそうなのでよくわかります。
しかし、そのような強い思いがあったとしても、現状の文字列選択は実用に足るものになっていないと思うのです。そこで、ハイライトの代替策としての「メモ」の使い方を紹介しておきます。
VoiceOverでの文字列の選択は非常に難しい状況ではありますが、自分が気になった文字列を探り、その文字列が含まれる行の中央付近の単語を選択することはわりと容易にできたのでした。このことを利用して、内容理解のために「メモ」を記入していこうという作戦です。
つまり、気になる文字列のどこかの単語を選択し、そこにメモをしていこうということです。
文字列の選択に手間をかけるのではなく、そこのところはやや不十分なままで、そこを読んで自分はどう思ったのか、何に気づいたのかということをメモに記入してみてはどうかという提案です。
文字列に対するアクションメニューが開いた状態で「ハイライト」ではなく「メモ」を選択します。するとメモの記入フィールドが現れますので、そこに自分の言葉で必要なことを記入していきます。
メモはハイライトとの併用が可能なので色分けもできます。ブックマークにメモができればよいのですがその機能はないようです。そのため、わざわざどこかの単語を選択してからメモをする必要があります。
記入したメモは、これまで述べてきた「ブックマーク」(しおり)や「ハイライト」と同様に「注釈」に一覧表示されます。
おわりに
全盲の視覚障害者「ぶちゃこま」のKindle本の読み方でした。
基本から応用まで書きましたが、基本部分の操作を習得すればKindle本は十分に読めます。応用部分は必要性や技術の程度に応じて参考にしてください。
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