【旅行資料】鎌倉時代の運慶関連の仏像~玉眼・康慶・快慶・湛慶・康弁・康勝~

全盲の視覚障害者‘ぶちゃこま’です。見える夫と仏像をめぐる旅がしたくて、その資料として仏像のことをまとめています。

このページには運慶関連の仏像をまとめました。鎌倉時代の仏像に特徴的な玉眼のはじまりから運慶作の仏像をつくられた順にまとめ、さらに慶派の仏師がつくったとされる仏像の代表作を調べています。

玉眼のはじまり

玉眼の仏像に出会うと、これは鎌倉時代以降につくられたのかなと、製作年代の目安になります。そうなると、玉眼の仏像が具体的にいつから存在するのかが知りたくなるというもの。現在、製作年代がはっきりしている仏像の中で、玉眼が用いられている最古の仏像は長岳寺の阿弥陀三尊です。

長岳寺・阿弥陀三尊

玉眼が用いられている最古級の仏像!長岳寺の阿弥陀三尊です。

  • 所蔵:長岳寺
  • 年代:1151年
  • 像高:140センチくらい?
  • 材料と技法:木造・玉眼
  • 備考:体内に仁平元年作の墨書銘あり
  • 文化財指定:重要文化財

▼ 一言メモ ▼

‘ぶちゃこま’は2025年の春にお会いできました!

現地のスタッフによると「康慶作の伝承がある」とのことでした。玉眼についての説明は特にされませんでしたが、平等院鳳凰堂の阿弥陀如来から約100年後の製作という解説はされました。まさにそうした視点を持って旅をしていたため、仏像マニアになった気分でうれしかったです。

運慶の作品

運慶がつくった仏像をつくられた順に並べています。正確にはもっと多くの仏像があると思いますが、おさえておきたい仏像や自分が旅行で出会えそうな仏像を選んでまとめました。東国武士と結び、力強い表現の仏像が多いようです。

圓成寺・大日如来坐像

運慶のデビュー作!圓成寺の大日如来坐像です。

  • 所蔵:圓成寺
  • 年代:1176年
  • 像高:98.8cm
  • 材料と技法:漆箔・寄木造
  • 備考:台座内に墨書あり
  • 文化財指定:国宝

▼ 一言メモ ▼

‘ぶちゃこま’は2025年の春にお会いできました!

奈良国立博物館で開催された特別展『超 国宝―祈りのかがやき―』に展示されたものを鑑賞しました。いつの日か円成寺にも出向きたいと思います。

願成就院・阿彌陀如来坐像/不動明王・矜羯羅童子・制吒迦童子三尊立像/毘沙門天立像

伊豆韮山にある北条時政による発願!願成就院の阿彌陀如来坐像/不動明王・矜羯羅童子・制吒迦童子三尊立像/毘沙門天立像です。

  • 所蔵:願成就院
  • 年代:1186年
  • 像高:阿弥陀如来142.0cm/不動明王137.2cm・矜羯羅童子74.4cm・制吒迦童子83.5cm/毘沙門天148.2cm
  • 材料と技法:木造
  • 文化財指定:国宝

浄楽寺・阿弥陀三尊像/毘沙門天像/不動明王像

横須賀芦名にある和田義盛による発願!浄楽寺の阿弥陀三尊像/毘沙門天像/不動明王像です。

  • 所蔵:浄楽寺
  • 年代:1189年
  • 像高:
  • 材料と技法:木造
  • 備考:収蔵庫改修を終え2025年9月から仏像拝観が再開
  • 文化財指定:重要文化財

興福寺・木造仏頭

興福寺の国宝館で会える!興福寺の木造仏頭です。

  • 所蔵:興福寺 国宝館
  • 年代:1189年
  • 像高:98.0センチ(頂~顎)
  • 材料と技法:桂材・漆箔・寄木造・彫眼
  • 備考:像内に「西金堂釈迦」と墨書あり
  • 文化財指定:重要文化財

▼ 一言メモ ▼

‘ぶちゃこま’は興福寺の国宝館を訪れるたびにお会いします。

頭だけになってしまってかわいそうなのですが、それが目印になって見つけやすいです。だけど、銅造仏頭(旧東金堂本尊)とお間違えの無いように。運慶作の仏頭は木造のほうですよ。

高野山金剛峰寺・八大童子立像(矜羯羅童子像・制多伽童子像など)

2025年度から修復に入るみたい!高野山金剛峰寺の八大童子立像です。

  • 所蔵:高野山霊宝館
  • 年代:1198年?
  • 像高:100cm前後
  • 材料と技法:木造・漆箔
  • 備考:2025年度の「紡ぐプロジェクト」の修理助成事業対象
  • 文化財指定:国宝(8体のうち6体)

瀧山寺・聖観音菩薩立像/梵天・帝釈天立像

愛知県岡崎市のお寺!瀧山寺の聖観音菩薩立像/梵天・帝釈天立像です。

  • 所蔵:瀧山寺 宝物殿
  • 年代:1201年?
  • 像高:聖観音174.4cm/梵天106.5cm/帝釈天104.9cm
  • 備考:聖観音には源頼朝の顎髭と歯が胎内に納まる
  • 文化財指定:重要文化財

東大寺・金剛力士像

言わずと知れた代表作!東大寺南大門の金剛力士像です。

  • 所蔵:東大寺 南大門
  • 年代:1203年
  • 像高:8.4メートル弱
  • 材料と技法:ヒノキ材・寄木造
  • 備考:躰内に『宝篋印陀羅尼経』の納入あり
  • 文化財指定:国宝

▼ 一言メモ ▼

‘ぶちゃこま’は奈良を訪れる折によくお会いします!

奈良国立博物館で開催された特別展『超 国宝―祈りのかがやき―』に、像内納入品である「宝篋印陀羅尼経」が展示されたので、2025年の春にはこちらも鑑賞できました。

興福寺・弥勒如来坐像

東京国立博物館の特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」(2025年9月9日~10月13日)に展示予定!興福寺北円堂の弥勒如来坐像です。

  • 所蔵:興福寺 北円堂
  • 年代:1212年
  • 像高:141.9cm
  • 材料と技法:桧材・彩色・寄木造・彫眼
  • 備考:像内に願文納入・台座内枠に慶派仏師の名の墨書あり
  • 文化財指定:国宝

興福寺・無著・世親立像

東京国立博物館の特別展「運慶 祈りの空間―興福寺北円堂」(2025年9月9日~10月13日)に展示予定!興福寺北円堂の無著・世親立像です。

  • 所蔵:興福寺 北円堂
  • 年代:1212年
  • 像高:無著像194.7cm・世親像191.6cm
  • 材料と技法:桂材・彩色・寄木造・玉眼
  • 備考:運慶の指導のもとに無著像は運助、世親像は運賀が担当したことが知られる
  • 文化財指定:国宝

慶派の仏師の作品

運慶のお父さんである康慶からなる仏師集団「慶派」の仏師の代表作をまとめました。

康慶の作品

運慶のお父さん、康慶の代表作です。

興福寺・不空羂索観音菩薩坐像

興福寺南円堂で10月17日に会える!不空羂索観音菩薩坐像です。

  • 所蔵:興福寺 南円堂
  • 年代:1189年
  • 像高:336.0cm
  • 材料と技法:桧材・漆箔・寄木造・彫眼で瞳は玉眼
  • 備考:10月17日のみ公開
  • 文化財指定:国宝

興福寺・四天王立像

興福寺南円堂で10月17日に会える!四天王立像です。

  • 所蔵:興福寺 南円堂
  • 年代:鎌倉時代
  • 像高:持国天204.0cm/増長天202.2cm/広目天204.5cm/多聞天198.0cm
  • 材料と技法:桧材・彩色・寄木造・彫眼
  • 備考:10月17日のみ公開
  • 文化財指定:国宝

興福寺・法相六祖坐像

興福寺南円堂で10月17日に会える!法相六祖坐像です。

  • 所蔵:興福寺 南円堂
  • 年代:1189年
  • 像高:常騰73.3cm/神叡81.2cm/善珠83.0cm/玄昉84.8cm/玄賓77.2cm/行賀74.8cm
  •      材料と技法:桧材・彩色・寄木造・玉眼
  • 備考:10月17日のみ公開
  • 文化財指定:国宝

快慶の作品

運慶と同時期の仏師、快慶の代表作です。運慶の力強さに対して、快慶は「安阿弥様(あんなみよう)」と呼ばれる美しく形式的な整いを表現していると言われています。

ボストン美術館・弥勒菩薩立像

いつか里帰りしてほしい!ボストン美術館の弥勒菩薩立像です。

  • 所蔵:ボストン美術館
  • 年代:1189年
  • 像高:106.6cm
  • 材料と技法:木造・漆箔
  • 備考:像内に奥書あり

浄土寺・阿弥陀三尊立像

中国の宋時代の仏画を手本にして造られた衣文のひだ、両脇侍の髪形、指の爪に注目!浄土寺の阿弥陀三尊立像です。

  • 所蔵:浄土寺
  • 年代:1194~97年?
  • 像高:阿弥陀如来像530cm・両脇侍370cm
  • 材料と技法:木造
  • 文化財指定:国宝

東大寺・僧形八幡神坐像

吊り上がった眉目、口辺の皺の刻み方に注目!東大寺勧進所八幡殿の僧形八幡神坐像です。

  • 所蔵:東大寺 勧進所八幡殿
  • 年代:1201年
  • 像高:87.1cm
  • 材料と技法:桧材・彩色
  • 備考:10月5日に開扉
  • 文化財指定:国宝

新大佛寺・盧舎那仏像(木造阿弥陀仏坐像)

頭部が快慶作!新大佛寺の盧舎那仏像(木造阿弥陀仏坐像)です。

  • 所蔵:新大佛寺
  • 年代:1202年?
  • 像高:100cmくらい(仏頭)
  • 材料と技法:木造
  • 備考:快慶作は頭部のみ
  • 文化財指定:重要文化財

東大寺・阿弥陀如来立像

7月5日と12月16日に会える!東大寺俊乗堂の阿弥陀如来立像です。

  • 所蔵:東大寺 俊乗堂
  • 年代:鎌倉時代
  • 像高:
  • 材料と技法:木造
  • 備考:7月5日と12月16日に開扉
  • 文化財指定:重要文化財

東大寺・地蔵菩薩立像

いったいどこにいるのだ?東大寺公慶堂の地蔵菩薩立像です。

  • 所蔵:東大寺 公慶堂
  • 年代:13世紀
  • 像高:
  • 材料と技法:
  • 備考:奈良国立博物館に寄託か?
  • 文化財指定:重要文化財

▼ 一言メモ ▼

‘ぶちゃこま’は2025年の春にお会いできました!

奈良国立博物館で開催された特別展『超 国宝―祈りのかがやき―』に出陳された快慶作の地蔵菩薩立像がこれではないかと思うのですがあっているでしょうか。「もし異なる像であればご容赦ください。

湛慶の作品

運慶の長男、湛慶の代表作です。

蓮華王院(三十三間堂)・千手観音坐像

1,001体の真ん中の観音様!蓮華王院(三十三間堂)の千手観音坐像です。

  • 所蔵:三十三間堂
  • 年代:1254年
  • 像高:355cm
  • 材料と技法:桧材・漆箔・寄木造・玉眼
  • 文化財指定:国宝

▼ 一言メモ ▼

‘ぶちゃこま’は2025年の春にお会いできました!

お堂を拝観した帰り道、お堂の裏の長い通路に千手観音の模型がありました。触れてもよいとのことでしたので確かめてみたところ、想像よりもずっとスリムで驚きました。

蓮華王院(三十三間堂)・千体千手観音立像(内9体)

1,001体が勢ぞろい!蓮華王院(三十三間堂)の千体千手観音立像です。

  • 所蔵:三十三間堂
  • 年代:平安時代~室町時代
  • 像高:166~167センチ前後
  • 材料と技法:寄木造または割矧ぎ造・漆箔
  • 備考:湛慶作の像は10号・20号・30号・40号・520号・530号・540号・550号・560号
  • 文化財指定:国宝

▼ 一言メモ ▼

‘ぶちゃこま’は2025年の春にお会いできました!

「平成30年(2018)にそのすべてが国宝指定されたことを記念して、国立博物館に寄託されていた像が本堂に還座し、1,001体が勢ぞろいしました。」とのことで、湛慶作の仏像にいっぺんにお会いできました。2か所に分かれてまとまっています。

雪蹊寺・毘沙門天三尊像

高知市長浜のお寺!雪蹊寺の毘沙門天三尊像です。

  • 所蔵:雪蹊寺
  • 年代:1225年ごろか?
  • 像高:毘沙門天168.0cm・吉祥天79.7cm・善膩師童子71.2cm
  • 材料と技法:ヒノキ材・寄木造・玉眼
  • 備考:中尊毘沙門天の左足ほぞに墨書銘あり
  • 文化財指定:重要文化財

康弁の作品

運慶の三男、康弁の代表作です。

興福寺・龍燈鬼像

興福寺の国宝館で会える!興福寺の龍燈鬼像です。

  • 所蔵:興福寺 国宝館
  • 年代:1215年
  • 像高:77.8cm
  • 材料と技法:桧材・彩色・寄木造・玉眼
  • 備考:像内に康弁が造ったとする書きつけあり
  • 文化財指定:国宝

康勝の作品

運慶の四男、康勝の代表作です。

法隆寺・阿弥陀三尊像

飛鳥風に銅造だけど顔は鎌倉風!法隆寺金堂西の間の阿弥陀三尊像です。

  • 所蔵:法隆寺 金堂(西の間)
  • 年代:1232年
  • 像高:中尊64.6センチ・左脇侍55.4センチ
  • 材料と技法:銅造
  • 備考:右脇侍(勢至菩薩)は1994年の補作
  • 文化財指定:重要文化財

六波羅蜜寺・空也上人像

お口から出ている阿弥陀仏がユーモラス!六波羅蜜寺の空也上人像です。

  • 所蔵:六波羅蜜寺
  • 年代:鎌倉時代・13世紀
  • 像高:
  • 材料と技法:木造
  • 文化財指定:重要文化財

▼ 一言メモ ▼

‘ぶちゃこま’は2025年の春にお会いできました!

寺内の令和館にいらっしゃいます。それほど大きくない館なのですが、空也上人像意外にも貴重な仏像がたくさん。運慶関連の仏像も多く興味深かったです。

東寺・弘法大師坐像

早朝に行けば会えるみたい!東寺御影堂の弘法大師坐像です。

  • 所蔵:東寺 御影堂
  • 年代:1233年
  • 像高:
  • 材料と技法:ヒノキ材・彩色。寄木造・玉眼
  • 文化財指定:国宝

参考文献

おわりに

全盲の視覚障害者‘ぶちゃこま’がまとめた運慶関連の仏像でした。

奈良や京都をうろうろしていればなんとなく会えそうなこれまでとは違い、鎌倉時代になると東国武士との結びつきをきっかけに仏像も近畿にとどまらず、関東や四国にまで広がっています。特別開扉でしかお会いできない仏像もあるので、なかなかに旅人泣かせです。

今回は「像高」や「材料と技法」が記せない仏像が多くなっています。仏像のデータはなるべく公式情報から得たいと考えているので、見えない私が入手するにはこれが限界でした。

おわりっ!