全盲の視覚障害者‘ぶちゃこま’です。
見える夫と仏像をめぐる旅がしたくて、見えないなりに学んだ飛鳥文化の仏像をまとめています。この学びをもとに旅行をしています。
飛鳥文化の始まりは538年、または552年の仏教伝来でいいでしょう。では終わりはいつかしら。そんな問いを頭の片隅に置きながらまとめました。
▼ 登場する仏像 ▼
- 飛鳥大仏
- 法隆寺金堂・釈迦三尊像
- 法隆寺・釈迦如来及び脇侍像
- 法隆寺・菩薩立像
- 法隆寺献納宝物・如来座像(145号)
- 救世観音像
- 百済観音像
- 法隆寺金堂・四天王像
- 広隆寺・弥勒菩薩半跏思惟像
目次
鞍作止利の作
なんといってもまずは止利。聖徳太子が生きていたころに活躍した仏師です。
現存する止利の作は2つ。一つは飛鳥大仏。目の周辺と右手指3本だけが当時のものらしいのだけど、それでも作風が伝わるというからすごい。ぜひこの目で見たかったなあ。そしてもう一つは法隆寺金堂の釈迦三尊像。この2つが「似てる」と思えればとりあえずはよしです。
飛鳥大仏
明日香の地に居座ること1400年、一歩も動いていません!
- 所蔵
- 飛鳥寺(安居院)
- 造像年
- 606年または609年
- 特徴
- 金銅仏
- 丈六の釈迦如来坐像・高さ275センチ
- 当時の現存は目から眉・右手指3本
- 重要文化財
法隆寺金堂・釈迦三尊像
670年の火事からはどうやって逃げたのだろう?
- 所蔵
- 法隆寺 金堂
- 造像年
- 623年
- 特徴
- 金銅仏
- 中尊の高さ87.5センチ
- 光背の裏面に銘文→作者と造像年がわかる
- 国宝
止利様式の仏像
飛鳥大仏や法隆寺金堂の釈迦三尊像のように、文献や銘文に作者の記録はないけれど止利の作に似ているよねという仏像たち。これを止利派や止利様式の仏像と言うそうです。
▽ 止利様式の特徴 ▽
- アルカイックスマイル(目を見開いて微笑んでいる)
- 表面鑑賞性(横や後ろからは見ないでねみたいな)
- 左右相称性(衣装がシンメトリーにきちっと)
以下にまとめた仏像がこれらの特徴をふまえていることがつかめるとよい。止利っぽいなと感じられたらOKです。止利と書かれていないだけで止利の作かもしれないし、止利が率いる仏像工房の作かもしれないし、この時期に流行したスタイルかもしれない。実際はどうだったのかなあ。
法隆寺・釈迦如来及び脇侍像
2023年の春は東北方面にお出かけみたい♪
- 所蔵
- 法隆寺
- 造像年
- 628年(戊子)
- 特徴
- 銅造
- 光背の高さ38.4センチ
- 光背の裏面に銘文→造像年がわかる
- 右脇侍は現存しない
- 重要文化財
法隆寺・菩薩立像
止利さんは北魏推しみたいだけどこちらの仏像は南朝の雰囲気♪
- 所蔵
- 法隆寺
- 特徴
- 銅造
- 像の高さ56.7センチ
- 胸の前に両手で宝珠を持つ→南朝式の手の形なのだそう
- 重要文化財
法隆寺献納宝物・如来座像(145号)
東京国立博物館でお会いできますよ♪
※2023年4月25日から2024年4月21日まで東博「法隆寺宝物館」第2室にて
- 所蔵
- 東京国立博物館
- 特徴
- 小金銅仏
- 像の高さ30.8センチ
- 重要文化財
- 同種
- 法隆寺献納宝物中の如来立像(149号)
- 法隆寺献納宝物中の菩薩半跏像(155号)
止利様式に連なる木彫仏
たぶんお待ちかねではないかしら。救世観音や百済観音たちのことです。
止利の作と似ているけれどどこかちょっと違う。作者が違うせいか、つくられた時期が違うせいか、お手本にした仏像が違うせいかなどいろいろと考えられているみたいです。それでもまだアルカイックスマイルは健在。ほんのちょっと動きが出てきたけれど、まだまだ表面鑑賞性や左右相称性を脱しないところも注目です。
救世観音像
まだまだ正面から見てねというたたずまい!
- 所蔵
- 法隆寺 夢殿
- 特徴
- クスノキの一木造・金箔
- 像の高さ179.9センチ
- 国宝
- 参考
- 新潟県関山神社の銅造菩薩立像(渡来仏)
百済観音像
ほんのちょっと衣装が前後に揺れ出した?
- 所蔵
- 法隆寺 百済観音堂
- 特徴
- クスノキの一木造・上半身が木屎漆&彩色
- 像の高さ210.9センチ
- 国宝
- 類似
- 法隆寺金堂の四天王像
法隆寺金堂・四天王像
四天王像としては棒立ちすぎるけれど仏像としてはちょっと動きがあるのよ♪
- 所蔵
- 法隆寺 金堂
- 造像年
- おそらく650年ごろ
- 特徴
- クスノキの一木造・彩色
- 像の高さ133.3~134.8センチ
- 広目天と多聞天の光背裏面に銘文→山口大口費(=山口直大口)
- 日本書紀に山口直大口が650年に千仏を刻んだ記録あり
- 国宝
広隆寺・弥勒菩薩半跏思惟像
半跏思惟だから当然立体的になりアルカイックスマイルを残すのみ?
- 所蔵
- 広隆寺
- 特徴
- アカマツと一部クスノキの一木造
- 像の高さ123.3センチ
- 創建当時の本尊と伝えられる
- 国宝第1号
- 類似
- 韓国ソウルの中央国立博物館の金銅仏
参考文献
- 水野敬三郎著『奈良・京都の古寺めぐり』(岩波ジュニア新書)
- 籔内佐斗司著『教養として知っておきたい ほとけの履歴書』(NHK出版)
- ジャパンナレッジ Personal
- Wikipedia
- 東京国立博物館
おわりに
全盲の視覚障害者‘ぶちゃこま’が、見えないなりに学んだ飛鳥文化の仏像のまとめでした。
研究者でもなんでもないただのトラベラーとしての資料なんだけど、こうしてウェブページにまとめるとなるととても大変。しかも、見えない私の代わりに、歴史に興味がない夫に仏像を見てもらおうというのだからもっと大変です。でも、まあまあ成功しています。
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