全盲の視覚障害者‘ぶちゃこま’です。見える夫と仏像をめぐる旅がしたくて、見えないなりに学んだ仏像のことをまとめています。
このページには、平安時代中ごろから終わりにかけての仏師定朝に関連する仏像をまとめました。定朝様式と寄木造にふれながら、定朝様式の完成とその前後の仏像を見ていきたいと思います。
目次
仏師定朝という人
これまで仏師と言えば飛鳥文化のところでふれた「止利(とり)」がいました。今後は「運慶」に代表される慶派の仏師たちが登場すると思うんだけど、今回は「定朝(じょうちょう)」という仏師です。
定朝は、藤原道長・頼通父子のために多くの仏像をつくった人のようです。平安貴族や浄土信仰がキーワードになると思います。
定朝様式とは
仏師定朝の代表作は平等院の阿弥陀如来坐像です。定朝の作であると確証が得られている現存唯一の仏像なのだそう。もっとたくさんつくった記録がある中で残っているものが一つなのは残念ではありますが、「定朝様式ってなに?」となったときに「平等院の阿弥陀如来坐像だよ」と答えられることにおいてはわかりやすくていいと思います。
というわけで、定朝様式とは、あの平等院の阿弥陀如来坐像のような優美でおだやかで均整のとれた仏像の面立ちやいでたちのことを言います。藤原道長・頼通父子や当時の貴族に大変好まれたんだそうです。
寄木造とは
貴族に大人気の定朝様式の仏像は、浄土信仰とあいまって大量生産が迫られました。そのためか、その逆かはわかりませんが、定朝が完成した寄木造は仏像の大量生産を叶えたようです。
寄木造そのものの工程はここでは割愛するけれど、寄木造の完成により分業ができるようになったこと、大きな仏像がつくりやすくなったこと、用材の節約につながったことなどを知っておくといいと思います。
ちなみに、『国史大辞典』の「寄木造」の項にはこうありました。
現存する平等院鳳凰堂の阿弥陀如来坐像(定朝作)は、頭体の主要部を五〇センチ角の檜材四本で構成し、結跏する両膝は横に並べた角材二本を寄せ、この六材を中心として細部に別材を寄せて像を完成している。
平等院の阿弥陀如来坐像を拝むときは、大きくは6つに分かれているんだなあと想像してみるといいかもしれません。
定朝様式の完成
仏像がつくられた年代は前後しますが、まずは仏師定朝がつくったと確証が得られている平等院の阿弥陀如来坐像から始めます。これが定朝様式の完成形です。
平等院・阿弥陀如来坐像
定朝様式の完成形!平等院の阿弥陀如来坐像です。
- 所蔵:平等院 鳳凰堂
- 年代:1053年
- 像高:277.2センチ
- 材料と技法:ヒノキ・漆箔・寄木造
- 文化財指定:国宝
平等院・雲中供養菩薩像
鳳凰堂全体が定朝のプロデュース!愛らしい雲中供養菩薩像です。
- 所蔵:平等院 鳳凰堂
- 年代:1053年
- 像高:90センチくらい
- 材料と技法:ヒノキ・彩色・截金
- 備考:鳳凰堂内部の長押の上に左右で26躯ずつの52躯が懸けられている
- 文化財指定:国宝
仏師康尚の作品
突然だけどここで仏師康尚(こうしょう)です。この人は、定朝のお父さんとか師匠とか言われている人。お父さんであったかどうかは判然としないようですが、師匠ではあったようです。少なくとも定朝が完成した寄木造の道をいっしょに歩いたことは間違いないと思われます。
そんな康尚がつくったと言われている仏像が同聚院の不動明王坐像です。
同聚院・不動明王坐像
定朝の師匠康尚の作でまだ一木造!同聚院の不動明王坐像です。
- 所蔵:同聚院
- 年代:1006年
- 大きさ:丈六(265センチ)
- 材料と技法:木造・一木造
- 備考:木造不動明王坐像としては日本一の大きさ
- 文化財指定:重要文化財
▼ 一言メモ ▼
‘ぶちゃこま’は2024年秋にお会いできました!
NHKの大河ドラマ『光る君へ』がちょうどこの年代をオンエアしているときにお会いしました。私は、体調が崩れてきた道長は回復を願うというよりは未来を託すような気持ちでこの不動明王座像を拝んだのではないかと思いました。それくらいでっかくて頼もしい感じでしたよ。
定朝前後の阿弥陀仏
みんなが思い浮かべる阿弥陀仏と言えば平等院の阿弥陀如来坐像。それくらい日本人に浸透している定朝様式の阿弥陀仏です。ならば、そうなる前とそうなってからの伝播の様子を知りたいじゃないかということで、次の二つの仏像を見ていきます。
岩船寺・阿弥陀如来坐像
まずは定朝以前の阿弥陀仏。岩船寺の阿弥陀如来坐像です。平等院の阿弥陀如来坐像のおよそ100年前につくられた仏像で、10世紀の基本作例だそうです。
- 所蔵:岩船寺
- 年代:946年
- 大きさ:丈六の坐像
- 材料と技法:木造・漆箔(衣に朱の彩色が残っている)・一木造
- 備考:胎内に墨書銘文あり
- 文化財指定:重要文化財
浄瑠璃寺・九体阿弥陀仏
次は定朝様式の伝播の作例。浄瑠璃寺の九体阿弥陀仏です。つくられた年代には諸説あるようですが、中尊は11世紀後半につくられたのではないかと言われています。同じく中尊は寄木造で定朝様式を示していることにも注目です。
- 所蔵:浄瑠璃寺 本堂
- 年代:中尊は11世紀後半・他の8躯は12世紀前半
- 大きさ:中尊は224.2センチ・他の8躯は138.8~145.4センチ
- 材料と技法:ヒノキ・漆箔・寄木造・割矧造
- 文化財指定:国宝
参考文献
- 水野敬三郎著『奈良・京都の古寺めぐり』(岩波ジュニア新書)
- 籔内佐斗司著『教養として知っておきたい ほとけの履歴書』(NHK出版)
- ジャパンナレッジ Personal
- WANDER 国宝 | 国宝を観賞するための情報・リスト・カレンダー
- 仏像所有者の公式サイト
おわりに
全盲の視覚障害者‘ぶちゃこま’が、見えないなりに学んだ平安時代の仏像(定朝様式・寄木造)のまとめでした。
同聚院の不動明王坐像にお会いするためには秋の特別拝観をねらわなければなりませんが、そのほかの仏像にはいつでもお会いできそうです。すべてがJR奈良線沿いにいらっしゃることもgood!がんばって会いに行こう。
おわりっ!