全盲の視覚障害者‘ぶちゃこま’です。
2024年の春に、見える夫と奈良をおとずれました。天平文化の仏像をめぐる旅です。
聖林寺、興福寺国宝館、東大寺法華堂・ミュージアム・戒壇院、薬師寺、唐招提寺とめぐってきたわけだけど、旅の終わりに夫に難しい質問をされました。夫の疑問はもっともだと思うけれどその答えはわからなくて困っているという旅の記録です。
目次
国宝をたくさん見てきたよ
今回の天平文化の仏像をめぐる旅は国宝ばかりでした。どれも文化史的に学術的に大切だと国が指定した仏像ということです。
それなのに……。
聖林寺の十一面観音は、何重もの扉がついたお堂の中に間接照明で素敵に照らされておられました。一方唐招提寺の金堂にいらっしゃる仏さまはなんというか、野ざらしとは言わないけれど野外にいる私たちと同じような空気の中にたたずんでおられました。
夫の疑問
「この違いはなんだ?」というのが夫が私に投げかけた質問であります。
ちなみに、聖林寺の十一面観音立像は木心乾漆という造りで、唐招提寺金堂の千手観音立像と薬師如来立像も同じ造りなのです。うーん、わからんとなって、夫にはおいしいスイーツを与えてうやむやにしましたが本当のところはどういうことなのでしょうか。
国宝に格差があるとすれば
国宝は国宝だと思うのです。そこのところの格差があるとすれば国宝の下には重要文化財があるわけで、文化財としての価値に差をつけるのは難しそう。
となると経済力のほうかしらと考えました。このところは寺社の文化財もクラウドファンディングで応援しようという気風があります。支援が集まれば仏像の環境もよくなるのかもしれません。
それにしてもです。やはり物質は物質ですので劣化は否めないはずで大丈夫かしらと心配は心配です。秘仏になってふだんお会いできないと残念だったり、残念を通り越して困り果てたりすることがあるものの、いつも野外と同じ空気の中におられると考えるとそれはそれで心配がつのります。
たとえば東大寺
東大寺法華堂にいらっしゃった塑像たちは東大寺ミュージアムに所蔵されたようで、少し安心しました。ミュージアムのそれは素材が粘土というだけあって多少はボロっとしているようでしたし。
そうなると今度は戒壇院の四天王像はあの状態で大丈夫なのだろうかと、聖林寺や唐招提寺の乾漆像と同様に心配になってくるのですが……。
答えがわからなくても旅を続けてくれますか?
まあ、でも、ただのトラベラーの私が心配するまでもなく、所有者はちゃんと考えてそうしているのだろうと思います。本当はそうしたくないのだけれど仕方なくこうしていますという雰囲気はとりあえずありませんでした。どちらさまも「どうぞどうぞ」という感じでトラベラーを快く迎え入れてくださいました。
なので夫よ、この件は残念ながら私にはよくわかりません。それでも旅は続けてくれますか?もちろん豪華ディナーとおいしいスイーツつきで!
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おわりっ!