【旅行資料】天平文化の仏像~塑像・乾漆像・檀像~

全盲の視覚障害者‘ぶちゃこま’です。
見える夫と仏像をめぐる旅がしたくて、見えないなりに学んだ天平文化の仏像をまとめています。この学びをもとに旅行をしています。

天平文化の仏像は、唐の影響を受けて材料も技法もさまざま。そのため、塑像、乾漆像、檀像というように、材料と技法別にまとめました。さまざまな素材の仏像たちですが、実際の仏像は奈良にまとまってくれています。訪ねていく側としてはありがたい限りです。

塑像

塑像は年度でつくられた仏像です。粗い土から細かい土まで、三層くらい重ねてつくられることが多いみたい。細かく造形できることが特徴です。法隆寺五重塔の塑像群のように、塑壁のものもあります。

法隆寺五重塔・塔本塑像

仏菩薩らしい清らかさ!北面の阿修羅の目に注目です。

所蔵
法隆寺 五重塔
年代
711年
特徴
塑像
国宝

東大寺法華堂・(伝)日光・月光菩薩像

天平の名作、理想像と言われています。

所蔵
東大寺ミュージアム
年代
奈良時代
特徴
塑造
像高:(伝)日光菩薩207.2cm/(伝)月光菩薩204.8cm
当初は法華堂に安置されていたか?
国宝
所蔵

東大寺法華堂・執金剛神像

塑像なのできびきびとしたお姿!年に一度、12月16日にお会いできます♪

所蔵
東大寺 法華堂
年代
奈良時代
特徴
塑造
像高:170.4cm
本尊背後の厨子に安置
毎年12月16日に開扉
国宝

東大寺戒壇堂・四天王像

四天王4体の群像構成がすばらしい!

所蔵
東大寺 戒壇堂
年代
奈良時代
特徴
塑造
像高:160~170cm
当初は法華堂に安置されていたか?
国宝

乾漆像

乾漆像は漆で仕上げられた仏像です。中身が木枠だけになっている脱活乾漆像と、木彫が土台になっている木心乾漆像があります。

脱活乾漆造

脱活乾漆像は、中身が木枠だけになった漆で仕上げられた仏像です。麻の布を巻いてから漆を塗るので、それほどきりっとはしていません。軽いおかげで火事のときに持ち出しやすかったのではないかと想像しています。

興福寺・十大弟子

老・僧・弱の衣のひだの違いに注目!

所蔵
興福寺 国宝館
年代
奈良時代
特徴
脱活乾漆造、彩色
国宝

興福寺・八部衆像

阿修羅を探せ!目鼻立ちには写実性が出てきたけれど肉身表現はおさえめです。

所蔵
興福寺 国宝館
年代
奈良時代
特徴
脱活乾漆造、彩色
国宝

東大寺法華堂・不空羂索観音像

肉身表現たっぷりの堂々たるお姿!すべての人を救います。

所蔵
東大寺 法華堂
年代
8世紀前半
特徴
脱活乾漆造
像高:362cm
国宝

東大寺法華堂・四天王像

動きも肉身表現もアップ!静的な法隆寺金堂と當麻寺金堂の四天王像と比べましょう。

所蔵
東大寺 法華堂
年代
奈良時代
特徴
脱活乾漆造
像高:持国天309cm・増長天300cm・広目天304cm・多聞天310cm
国宝

唐招提寺御影堂・鑑真和上坐像

日本初の肖像彫刻!弟子の愛を感じます。

所蔵
唐招提寺 御影堂
年代
奈良時代(8世紀)
特徴
脱活乾漆・彩色
高さ:80.1cm
国宝

唐招提寺金堂・盧舎那仏坐像

天平後期の代表作です。

所蔵
唐招提寺 金堂
年代
奈良時代(8世紀)
特徴
脱活乾漆・漆箔
高さ:3メートル超え
光背の高さ:5.15m
光背の化仏の数:862体
国宝

木心乾漆造

木心乾漆像は、木彫が土台になって漆で仕上げられた仏像です。仕上げの漆は、経年や漆に混ぜた素材によってははがれてしまうことがあるようです。現在木彫仏として存在するものの中にも、本来は木心乾漆像だったものもあるかもしれないのだそう。

聖林寺・十一面観音立像

木心乾漆と言えばこの観音様でしょう!

所蔵
聖林寺
年代
奈良時代
特徴
木心乾漆造
高さ:209.1cm
1868年に大御輪寺から聖林寺へ
本堂脇の厨子の内部は滑車付きで可動性あり
国宝

唐招提寺金堂・千手観音立像

953本の腕!初めは千手あったんだろうね。

所蔵
唐招提寺 金堂
年代
奈良時代(8世紀)
特徴
木心乾漆・漆箔
高さ:5.36m
大脇手42本・小脇手911本
本尊の盧舎那仏坐像の向かって左側に安置
国宝
類似
向かって右の薬師如来立像(平安初期・木心乾漆)

檀像

檀像は、檀木といういい香りがする木でつくられた仏像です。檀木は日本には原生しないので、法隆寺の九面観音は招来したものであります。

法隆寺大宝蔵院・観音菩薩立像(九面観音)

白檀でつくられています。今もいい香りがするのかしら?

所蔵
法隆寺 大宝蔵院
年代
8世紀初めに招来
特徴
白檀の一木彫り
像高:37.1cm
国宝

代用檀像

檀木が育たない国はどうしたらいいの?そんな国のために、別の素材で代用していいよということが仏教の経典に書かれているそうです。日本では、カヤを材料にした代用檀像がさかんにつくられました。

唐招提寺新宝蔵・薬師如来立像

どっしりとしたお姿!お鼻が残っています。

所蔵
唐招提寺 新宝蔵
年代
奈良時代(8世紀)
特徴
木造
像高:163.7cm
旧講堂木彫群像の一つ
国宝

唐招提寺新宝蔵・衆宝王菩薩立像

額の中央に第3眼・腕は左右に3本ずつの痕跡!不空検索観音だったのでは?

所蔵
唐招提寺 新宝蔵
年代
奈良時代(8世紀)
特徴
木造
像高:173.5cm
旧講堂木彫群像の一つ
国宝

唐招提寺新宝蔵・獅子吼菩薩立像

額の中央に第3眼・腕は4本!不空羂索観音としてつくられました。

所蔵
唐招提寺 新宝蔵
年代
奈良時代(8世紀)
特徴
木造
像高:170.8cm
旧講堂木彫群像の一つ
国宝

参考文献

おわりに

全盲の視覚障害者‘ぶちゃこま’が、見えないなりに学んだ天平文化の仏像のまとめでした。

材料と技法からは、きびきびとした塑像、やわらかな乾漆像、唐の影響を受けた檀像の雰囲気がわかればいいのだと思います。造形としては、表情や肉身の表現がより人間らしくなっていく様子、四天王像に動きが出てくる感じがつかめることが大切なのだろうと思います。

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