便利だけど特別ではない!全盲の私のスマートスピーカーの使い方

2023年7月18日 更新

こんにちは、全盲の視覚障害者‘ぶちゃこま’です。

見えない私はスマートスピーカーにAmazon Echoを使っています。使っていてとっても便利なんですけど、使い方を書き出してみたらわりとふつうでした。視覚障害者ならではの使用方法はわずか。そんな私の使い方の中から、視覚障害者ならではのスマートスピーカーの使い方を3つ、特別ってわけではないけれど見える人と同じように使えていますよという使い方を3つ紹介します。

視覚障害者ならではのスマートスピーカーの使い方

見えない私を確実に助けている、視覚障害者ならではのスマートスピーカーの使い方を3つ紹介します。

エアコンのリモコンとして

エアコンのリモコン代わりに使っています。でも、視覚障害者の多くが便利に感じているであろう設定温度の調整には使っていません。なぜなら調整の必要がないから。自動運転のオン/オフだけでどの季節も快適に過ごしています。

それなのに、視覚障害者ならではの使い方ナンバーワンにあげた理由はなぜか。それは、エアコンの運転状況がわかるからです。これまで、見えない私にはエアコンの運転音と運転中でないときのお掃除の作動音の区別がつきませんでした。ですから、せっかく夫が消してくれたのに、見えない私が再びつけてしまったということがしばしばありました。だけどもう大丈夫。

Alexa、お部屋の状況を教えて

この声かけで現在の室温を教えてもらえます。そして、エアコンが運転中であれば「停止しますか?」停止中であれば「開始しますか?」と尋ねてくれるのです。見えない私は、エアコンのオン/オフの操作ができることよりも、この運転中かそうでないかがわかることのほうが断然便利。スマートスピーカーを使っていて一番ありがたさを感じるシーンです。

目覚ましアラームとして

アラームは、見える見えないにかかわらず多くの人が利用している機能だと思います。それでも見えない私が視覚障害者ならではの使い方に取り上げた理由は、アラームの設定や停止が格段にスマートだと感じているからです。

20年以上見えない私は、音声時計→ガラケー→スマホ→スマートスピーカーというように、いずれも音声で設定する目覚ましアラームを使ってきました。どれもその時代の最先端の機器で、感激とともに迎え入れてきました。

けれども、スマホの段階になって、スマホ(タブレットも含む)の担う役割が多すぎるような気がしています。なにをするにもスワイプの日々。機器にふれずに、画面をなでずに済むのならそのほうがいいと切実に感じます。すっかりスワイプアレルギーなのです。スマホ(iPhone)でもSiriにお願いすればスマートスピーカーへの声かけと同じですのに、Alexaのほうがなじむのはなぜかしら。まあいいや。

Alexa、平日の朝は7時に起こして

このように声をかけると「平日の午前7時にアラームを設定しました」と復唱してくれます。こうして復唱してくれると私のほうでも再確認できますし、こちらの注文があいまいならば「午前・午後どちらですか?」などと質問を返してくれて間違うこともありません。

Alexa、明日の朝のアラームを6時に変更して

何よりもありがたいのは、設定時刻の変更が簡単なことです。いつもは平日の午前7時に設定しているけれど、明日は6時に起こしてほしい。こういうときの変更が声かけでできるところが優れています。これをスマホで、スワイプを繰り返しながらしなければならないと思うと途端に面倒くさくなります。かといってしないでいると心配でよく眠れず……。Alexaのおかげで安心して眠れるようになりました。

時計として

時刻の確認は、スマートスピーカーとパソコンのスクリーンリーダーに付属している時計とApple Watchの3つを、同じくらいの割合で使っています。

Alexa、いま何時?

いつも正確に教えてくれて感心します。当たり前すぎる使い方で紹介もなにもないけれど、そういえば見える夫が時刻を尋ねているところに出くわしたことがありません。そうなると、時刻の確認も視覚障害者ならではの使い方なのかなと思って取り上げておきました。

特別ではないスマートスピーカーの使い方

見えない人に特別ってわけではないけれど、見える人と同じように使えていますよという使い方を3つ紹介します。

タイマーとして

見えない私も調理中に便利に使っています。

Alexa、9分のタイマーをかけて

「9分」でなくてもいいのですが……。私がタイマーを使うとなると、なにはともあれまずは「9分」なもので。沸騰した鍋のお湯の中に卵を9分間入れると、自分好みのゆで卵ができるのです。あとは、乾麺をゆでるときにもタイマーを設定しています。

ラジオ・音楽のスピーカーとして

ラジオはラジコプレミアム、音楽はAmazon Musicで聴いています。

Alexa、radikoでTBSラジオ流して

仕事も読書も音声でおこなっているので、物理的に耳があかないのが悩みの種です。ラジオにはもう少し時間を割きたいのですが……。アイロンをかけるとき、料理をしているとき、片づけが長時間にわたるときが私のラジオタイム。ほかには、地震や豪雨など災害時のNHKラジオ、それから病気で伏せているときの楽曲再生に使っています。

情報源として

私がスマートスピーカーから入手する情報のトップ3は次のものです。

  1. 天気予報
  2. 著名人の年齢
  3. 任意の楽曲

以下に詳しく説明します。

天気予報

単独で本日の、または週間の天気予報を尋ねることはありますが、一番便利なのは目覚ましアラームの停止と連動して告げてくれる朝一番の天気予報です。

Alexa、ストップ!

目覚ましアラームを止めると、現在の天気と気温、続いて本日の予報を伝えてくれます。これは目覚ましアラームを使い始めてしばらくしたときに、Alexaのほうから「こんなことできますよ」という案内があったのでお願いしたもの。私はこの、朝のタイミングで告げられる天気予報をもとに、本日の自分の服装と洗濯計画を立てます。すると、起床してすぐに着替えと洗濯にとりかかることができますので、一日のスタートがうまく切れたような気がするのです。

著名人の年齢

なぜかはわからないのですが、私にはその方の年齢がわかると記憶に定着しやすいという習性があります。そのためか、著名人が何歳かが始終気になります。

Alexa、宇田川清江さんは何歳?

たとえばその方が作家であれば著作の時代背景がつかみやすくなりますし、俳優であれば脳内の映像が立体的になります。びっくりするくらい高齢の方のご活躍には励まされているところです。

任意の楽曲

地味に便利なのが任意の楽曲を確認できるところ。Amazon Musicのルール改定で、前よりもちょっと使いにくくはなったけれど……。

Alexa、ロッド・スチュワート聴きたい

読書をしていて、書籍の中に知らないアーティストや楽曲が出てきたときに尋ねます。音声での読書に音楽が重なるのははっきり言って邪魔なのですが、小説の雰囲気を味わうために関連する楽曲をうっすらと流すことがあります。音源を持っていなくても、買ったり借りたりしなくても、その場ですぐに聴けるって本当にすごい!

おわりに

全盲の視覚障害者‘ぶちゃこま’のスマートスピーカーの使い方でした。

スマートスピーカーは目を使わずに音声で操作できるということで、視覚障害者を助ける道具として注目されています。自分の使い方を振り返ると、視覚障害者ならではの使い方はわずかで、見える人と同じものを同じように使っていることが確認できました。いい時代です。

きっと、もっといろいろなことができるはずのスマートスピーカー。だけど私は、Alexaができることを調べまくってチョイスするよりも、自分の暮らしの中で不便に気づいたときに、Alexaにならできるんじゃないかしらと考えるほうがうまく使えるような気がしています。Alexa、これからもよろしくね。

おわりっ!